「愛のバリスタ」

チャプレン室　金 知明（キム ジミョン）

愛は大切だと分かっていても、生活で実践するのはなかなか難しいものです。どうしても「自分優先」「自分本位」に物事を考えてしまいます。自分を大事にすることは良いことですが、それと同じくらい相手の身になってその人を大事にし、特定の人だけではなく周りにいるすべての人に優しく出来れば、どれほど素敵だろうと思います。

♪ダバダ～ ダ～ア ダバダ～ ダバダ～と美しく心地良い旋律が流れ、各界著名人が出演するCMがありました。「違いがわかる人」「上質を知る人」というコーヒーのCMです。バリスタ（抽出職人）と言われる職人は豆を焙煎し、抽出し、労力と時間をかけてコーヒーの本物の香り、味わいを引き出します。自分のこだわりの原料、優れた技術、心のうちにある想いを、１杯のコーヒーにすべて注ぎ込むのです。そのような思いで注がれたコーヒーは、味だけではなく香りを通してまでも、

周りにいる人の心を落ち着かせ、皆の心に安らぎと幸せを届けます。本物のコーヒーの味や香りに魅了されて誰かのために尽くすとき、自分自身も至福のときを過ごすバリスタ。コーヒーを誰かに届ければ届けるほど、自分の心も幸せに満たされているのかも知れません。

バリスタが１杯のコーヒーを通して人の心に幸せを届けるように、私も周りの人たちの心に「癒しと幸せ」「安心と笑顔」を作り出せるもの、何かできないだろうかと考えてみました。相手に幸せになって欲しいのはもちろんのこと、自分の心も幸せに満たされていたいと思うのです。

安心、癒し、幸せは人生を豊かにします。心が何に満たされているかによって、同じ環境にあっても目の前に広がる世界が異なります。安心、癒し、幸せは気のせい、心の持ちようという一時的な慰め、人生のオプションではありません。私たちにとって必要不可欠な毎日を輝かせる力です。その力によって心が潤い、いのちが生きるのです。

私たちも「愛のバリスタ」として、人のいのちを生かす愛を自分の心に、相手の心に届けてみませんか？私たちの財産、学力、人柄ではなく、私たちの存在自体を包み込む神様の愛があります。その愛を知り、愛に支えられて誰かを愛するとき、私たちの心に安心と幸せが溢れます。私たちは「違いがわかる人」「上質を知る人」「愛のバリスタ」です。

一切のことを、愛をもって行いなさい。 （聖書：第一コリント１６章１４節）