こころのサプリメント「神に似せて造られた私たち」

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こころのサプリメント「神に似せて造られた私たち」

チャプレン室 泉川 留美子

去る6月(2023年)ひとり旅で、

徳島県にある大塚国際美術館を訪問することができました。

 

「キリスト教の美術館、留美子は必ず見に行くべきだ」

旅行から帰ってきた叔父が興奮した様子で電話をかけてきました。

美術館の名前を聞いてもわからない、

「キリスト教の美術館」「留美子は必ず行くべき」と繰り返すばかり。

 

叔父にしては、めずらしい電話の内容でした。

その事があってしばらく後、叔父は肺癌になり召されていきました。

遺言のようになったその言葉がずっと気になり、

「キリスト教・美術館」では検索できずにいましたが

ふとしたきかっけで「大塚国際美術館」のことを知り、

ここに違いないと確信しました。

 

叔父の電話から数年の時が経ちましたが、

やっと「大塚国際美術館」に足を運ぶことができたのです。

 

美術にあまり興味もなく、聖画にさえ関心のない私でしたが、

「絵を見る技術(秋田麻早子著・朝日出版社)」など

美術に関する本を何冊か読んで準備しました。

 

大塚国際美術館には世界中の有名な作品が

千点以上も陶板で同寸大に複製展示されています。

その中にシスティーナ礼拝堂、

スクロヴェーニ礼拝堂などの再現もあるのです。

ゴッホが描いた七つのひまわり、ピカソの様々な作品

真珠の耳飾りの女などなど世界的に有名な作品の数々。

 

真珠の耳飾りの女のターバンの色は黄色ですが、

その色は牛の尿からつくられた色だと知りました。

 

「昔の画家は、自分で材料をすりつぶし、

メディウムで溶いて準備するところから始めていました。

また、色の材料によって性質がちがうため、

それぞれの性質と使用法に習熟する必要がありました。」

「昔の画家は薬剤師のような技能も必要だったのですね。」と

絵を見る技術の本に書かれているように

絵の具など簡単に手に入れられない時代の画家たちは

苦労して絵の具を調達していたようです。

 

古代から現代に至るまで、色々な作品を見てまわりながら

「人をわれわれのかたちとして、

われわれの似姿に造ろう」創世記1:26

という神様のことばが思い出されました。

後世に残る作品を残した芸術家たちの素晴らしい才能、

絵の具さえ手に入れることがむつかしい時代から

人は絵の具を作り、紙を作り、さまざまなものを生み出し、

そして自分の心の中にあるものを芸術として表現していく。

芸術家たちの偉大さをみながら、

私たちは本当に神様に似るものとして造られている、

生み出す能力、発展させる能力などが与えられている、

素晴らしい存在なのだと感動しました。

 

「神様に似るよう」な存在である私たち、

神様にとっても大切な存在であるのだと、

あらためて心に感謝があふれる旅でした。