「自分のことより、誰かのためにできること」

  • チャプレン室「こころのサプリメント」

「自分のことより、誰かのためにできること」

チャプレン室 金 知明(キム ジミョン)

「だれでも、自分の利益を求めず、ほかの人の利益を求めなさい。」Ⅰコリント10章24節
このことばには、深い意味が込められていると感じます。私たちが日々どんな選択をするか、そしてその選択が他者や自分にどんな影響を与えるかを考えさせられることばです。実際、「自分よりも他の人の利益を考える」ということは、想像以上に難しいことかもしれません。

 

私たちは日常生活の中で、ときに自分の都合や快適さを優先してしまうことがあります。たとえそれが家族や友人であっても、つい自分の気持ちや時間を最優先にしてしまうことがあるのではないでしょうか。しかし、このことばは自分を犠牲にしてでも他者を思いやることの大切さ教えています。それは単なる理想論ではなく、私たちの心を本当に豊かにしてくれる生き方だと教えられます。

 

私たちには毎日、「どんな生き方をするか」を選ぶ自由があります。どんな言葉を使うか、どんな行動をするか、どんな気持ちで他者に接するか。それは全て私たちの手の中にあります。けれども自由だからこそ、自分の思い通りにいかないことも多いのです。例えば、自己中心的に行動することがその場の「快適さ」をもたらすかもしれませんが、結局のところ本当の「幸せ」には結びつかないことがあります。

 

逆に、ほんの少しでも他の人のことを考えて行動することで心が温かくなったり、満たされたりすることがあります。小さな思いやりや配慮は相手の心に大きな影響を与えるだけでなく、自分自身の心にも潤いを与えてくれるのです。それは、まるで乾いた土地に雨が降るように、私たちの心に必要なものを与えてくれる瞬間です。

 

たとえば、困っている人に手を差し伸べる、家族に優しいことばをかける、友達の小さな悩みを聞いてあげる…。これらの小さいと思える行動が、他者にとって大きな意味を持つことがあります。私たちが何気なく行ったことが、相手にとって大きな助けになることがあるのです。その人の心を癒し、日常を少しだけ豊かにする手助けになるかもしれません。

 

そして、そのような行動が積み重なっていくことで、私たち自身もより深い幸せを感じることができます。自己中心的な利益だけを求めるのではなく、他者のためにできることを少しでも意識して行動することで、私たちの心の中には「生きがい」が生まれます。それは、他の人とつながり、共に幸せを分かち合うことで、私たちの人生がもっと豊かで温かいものとなっていくのです。

 

自由にできることが多い時代だからこそ自分のためだけに生きるのではなく、他者のためにできることを意識的に選ぶことが大切です。それが私たちの心を満たし、日々の生活をより豊かなものにしていくでしょう。