若年性認知症カフェ

  • 認知症カフェに関するお知らせ

若年性認知症カフェ

2026年3月21日(土) 13時~16時
【会場】 新オレンジサポート室
【参加者】11名(認知症当事者2名、家族5名、支援者3名、行政職員1名)
【内容】自己紹介、近況報告、悩み共有、自由交流

 

交流会(近況報告)

会の様子(導入)

当日は、認知症の人と家族の会の世話人や役員を務めている参加者の一部が別の会議に出席していたため、通常より少人数での開催となった。その一方で、進行役からは「今回少なめですけど、ゆっくり話せるかな」と声がかけられ、落ち着いた雰囲気の中で、一人ひとりの語りに耳を傾けられる時間となった。新しく参加した人もいたことから、はじめにカフェの流れが丁寧に説明された。先月はマネーセミナーであったが、今回は普段どおりの交流会として進められ、自己紹介、最近の近況、悩みや心配ごとをざっくばらんに語り合う場となった。冒頭には緊張した様子も見られたが、語りが始まるにつれ、場には安心感と共感の空気が広がっていった。

 

主なやり取り(時系列)

 

  • 最初に語られたのは、前頭側頭型認知症の夫を長年介護している家族の経験であった。48歳で全身けいれんを起こし、その後複数の医療機関を経て診断に至った経過、支援者とつながったきっかけ、そして現在に至るまでの長い介護の道のりが落ち着いた口調で共有された。身体機能の低下により移乗や外出が難しくなっている一方で、介護を通して得た気づきや、夫への感謝の思いも語られた。
    印象に残った言葉「主人が前頭側頭で診断されて、もう9年くらいになるかな」「生きててくれてありがたいなってすごく思って」「病気であっても学ぶ意味があって生きていると感じる」
  • 続いて、火の不始末に対する不安が共有された。家族からは、コンロをつけたまま外へ出てしまった出来事が語られ、「一番怖いのは火事だと思っています」と切実な思いが述べられた。それに対し、本人からも申し訳なさと今後の工夫が率直に語られ、家を出る前のチェック項目を活用していること、一人のときは火を使わないようにしていくことなど、具体的な対策が話し合われた。また、介護と生活課題が重なっている家族の語りもあった。妻の認知症に加え、息子のうつ症状も抱えながら二人を支えている現状について、「一人で悩んでいてもしょうがないので、こういう場があるということで参加しました」と話され、会の場に相談先や支え合いの機能を求めていることが伝わった。
  • 夫の怒りっぽさや暴言、家族への影響について語る場面では、場の空気がやや張りつめた。洗い物をしながら涙を流したこと、子どもが間に入るほど家庭内の緊張が高まっていたこと、そして入院調整へとつながった経過が丁寧に語られた。家族からは、「罪悪感との戦いで…」と理解はしていても心が追いつかない苦しさが率直に表現された。
  • 別の参加者からは、考え方を少しずつ切り替えながら日々を過ごしている様子も共有された。『今できることを楽しもう』という発想のもと、夫を連れてベトナムへ旅行した経験が語られた。移動中の混乱や声かけの工夫など大変さもあったが、会場には笑いが起こり、『大変と思うか、楽しんだと思うかの違いかなと思って』という言葉に、多くの参加者がうなずいていた。
  • 会話が進む中で、別の参加者から認知症の症状と体重減少の話題になった。食事量は十分あるにもかかわらず体重が落ちていくことへの不安が共有され、『食べているのに痩せていく』という悩みが複数の家庭で共通していることが確認された。治療薬や健康補助食品については、効果の実感や副作用、費用面、家族としての納得感など、それぞれの立場から率直な意見交換が行われた。
  • 長年介護を続ける中で『自分自身を大切にすること』の大切さにも意識が移ってきたという語りも印象的であった。以前は『介護が終わったら自分はもういつ死んでもいい』と思っていたが、病気をきっかけに美容院へ行き、自分も元気でいたい、楽しみたいと思えるようになったという話には、深い実感と気持ちの回復の兆しがにじんでいた。

 

 

印象的な発言・エピソード

「生きててくれてありがたいなってすごく思って」
「一番怖いのは火事だと思っています」「罪悪感との戦いで…」
「工夫次第で本人ができることもたくさんある」
「大変と思うか、楽しんだと思うかの違いかなと思って」
「食べてるのにどんどん痩せていくんですよ」
「県外旅行、大変な思いしかなかったけれど、数年年後には行って良かったと振り返れそう」
「自分も大切にしてほしいな」「一日何回か笑うようにしてます」
「薬のことはお医者さんに任せる。困りごとは、それぞれ相談できる場所に任せる。
自分は日常生活を楽しむこと、そして自分自身のこともきちんと大切にする。
そうやって役割を分けていく中で、自分のストレスはちむゆくる会で発散したり、
女子会(家族会)でご飯を食べながら発散したりしている。
また、日頃のお金の心配や管理については娘に相談している。
このように、一つひとつのことを細かく分けて、それぞれに相談しながらやっている。」
これらの言葉には、介護の困難さだけでなく、当事者と家族が日常の中で工夫し、迷い、
支え合いながら暮らしている実感が凝縮されていた。特に、『笑うようにしてます』という
語りには、深刻な状況の中でも暮らしを持ちこたえようとする力が感じられた。

 

まとめ

本会では、生活上の具体的なリスクへの対応、介護者の心理的負担、治療や支援の選択に関する迷いなど、多様なテーマが自然な流れの中で共有された。少人数であったことにより、一人ひとりの言葉が丁寧に受け止められ、発言の背景にある感情や生活状況も見えやすかった。特に印象的であったのは、家族が抱える罪悪感や孤立感が、語ることを通して少しずつほぐれていく過程である。参加者同士が『うちもそう』『分かる』というかたちで反応し合うことで、自分だけではないという安心感が生まれていた。また、火の管理、体重減少、怒りっぽさ、外出や旅行、薬の選択など、日常の困りごとが具体的に共有されたことは、今後の支援につながる重要な情報でもある。
今後の支援としては、①家族が安心して語れる場の継続、②生活リスクに対する具体的な助言や社会資源の紹介、③介護者自身の健康維持やレスパイトへの働きかけ、④本人・家族それぞれの価値観を尊重した意思決定支援が求められる。本カフェは、単なる情報交換の場ではなく、『そのままの思いを共有できる場』として機能していると感じた。