「ぞうとひよこと神様と私」

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「ぞうとひよこと神様と私」

チャプレン室 瑞慶山 真

 

象は陸地で生きる動物の中ではもっとも大きな動物です。

また平均寿命は60年を越え、生きているあいだ大きくなり続けるので、体重は平均で約5tにもなるというから驚きです。

また知能も高いことから、人間社会と共生している姿もよくみかけます。

動物園やサーカス、愛らしいキャラクターがすぐ頭に浮かぶ身近な人気者です。

 

そのような象を輸送する方法について興味深いお話を聞きました。

あれだけ大きな生き物ですから、飛行機の中で動き回られるとフライトに影響が出てしまう。

かといって、長時間にわたって象を縛ったり閉じ込めたりすると、ストレスで落ち着かなくなってしまったり、体調を崩してしまうことさえあります。

 

象がじっとしていられる以外な方法。

それは象のいる床一面にひよこを放つというものです。すると象は静かに穏やかでいられるというのです。

本意ではなくても、自分が動き回ることで小さな命を傷つけてしまうかもしれない。それならば小さな命を守るために静かにしていようと象は判断するというのです。

同じ仲間の象や自分の命でもない、別の小さな命をも象は傷つけまいとする大きな生き物なのです。

とるにたりない小さな存在にも心を向け、慈しむことができる神様だからこそ、神様はそのように象をイメージして造ることが出来たんだと、創造の御業の細部を見せていただいた思いになりました。

 

まど・みちおさんが作詞された童謡に「ぞうさん」があります。

「お鼻が長いのね」と、周囲から君だけがみんなと違って変だねと言われたことに対して、子どもの象が「そうよ、母さんも長いのよ」と、同じじゃなくたって気にしない、だって自分をいつも大事にしてくれる、大好きでいてくれるお母さんと同じなんだからと応える内容の歌詞です。

 

「やられたらやりかえす」や、それ以上で仕返しをするということを最近よく見聞きするようになりました。

自分とは異なるものにどう向き合えばいいかを考えさせられますね。

この歌詞には、何につながっているかで、自分に自信と誇りをもつことができ、自分とは異なるものにも寛容でいられるし、親切にしてあげられるという大切なメッセージが込められているように思えます。

神様は、すべての人を愛する我が子と呼んでくださる方です。この方とつながる私たちもまた寛容と親切をもって人とつながることができます。対立する関係の中にも愛を注ぎ、慈しむことも出来るのです。

神様のかたちが私たちにあるからです。