「風にまかせて」

  • チャプレン室「こころのサプリメント」

「風にまかせて」

瑞慶山 真

 

あなたの道を主にゆだねよ。主を信頼せよ。主が成し遂げてくださる。

(詩篇37章5節)

 

人生って何かに似ているとか、何かにたとえた話しを聞くことがあります。それが道であったり、旅であったりはよく聞く話です。
でも、紙飛行機のたとえは、子どもに教えられるまで知りませんでした。
「お父さんは、空を見ながら何かお願いしたことあるの?」娘が私に質問しました。「勿論あるよ。空を見上げて神様にお願いしたり、お祈りしたり」、そう答えると「ふーん」とモヤモヤが晴れたのか、そこで話題は終わりました。
何故そんな質問をしたかが分かったのは、それから数日が経ってからでした。

 

合唱クラブに入り、引っ込み思案な面が変わってきたと感じています。家でもよく歌うようになり、みんなと一緒に人前で歌うのが楽しいと言っています。
沢山覚えた中で「人生は紙飛行機~」と歌う曲が一番好きだと教えてくれました。その「365日の紙飛行機」の歌詞には、ドラマのモデルにもなった広岡浅子の人生が描かれているという事も分かりました。

 

幕末、明治、大正と激動の時代の風を受け、まっすぐに突き進んでいく浅子。
名家に生まれ、良妻賢母に育てたい親の思いに反したおてんばぶりで、向学心旺盛でもあった彼女は、親に「女子に学問は不要」と読書を禁じられたともいいます。十七歳で豪商の家に嫁ぎ、廃藩の煽りを受けた家業を建て直そうと、奮闘しながら数々の事業を興し、日本初となる女子大学設立にも関わりました。

 

その浅子が、晩年に大病を患い奇跡的に回復するという体験をしました。その時「天はなお何かをせよと自分に命を貸したのであろう」と感じた彼女は、「天」、「命を与えることの出来る存在」の探求を始めていきます。
教会の扉をたたき、クリスチャンになるには長くはかかりませんでした。

 

その後、全ての事業から身を引いて、残りの生涯をかけて女性の人権・地位向上を牽引し続けていきます。人生を振り返り、人の心に思いを与え、共にいて導いてくださり、全てを成し遂げてくださってていたのは神様だったと得た確信を多くの人に語り伝えました。

 

風が何処からきて、何処へ吹いて行くのか人には分かりません。でも、翼を広げて身を任せるなら、進むべき方向へと運んでくれるのです。神様に信頼し、神様に自分の進んで行く道を委ねるなら、神様がともにいて成し遂げてくださるのです。
「飛んでみよう」、「飛んで行け」と交互に繰り返される歌詞は、風を送る側と、風を受けて飛ぼうとする側の声にも聞こえてきます。
私もこの曲が好きになりました。