こころのサプリメント「一人じゃないよ」

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こころのサプリメント「一人じゃないよ」

チャプレン室 瑞慶山 真

私は、十七歳の時に三ヶ月入院しました。

高校三年生の一学期でした。

その年は三年に一度、学園祭が行われる年で、

大きなイベントを前に、最高の思い出を作ろうと、

クラスや学年がまとまり、学校全体が盛り上がっている頃でした。

でも、私が教室の自分の席に座る事はないまま学園祭は終わり、

教室に戻ったときは、二学期を迎えていました。

 

進路や将来について、友人たちと悩みを分かち合う機会もありませんでした。

相づちを打って笑顔で応えても、お互いの距離は縮まらないどころか、

どんどん離れて取り残されている思いでした。

気持ちだけが焦る私に父は

「今は、体調を整える事に専念すればいい。進路はその後で考えればいい」

と語ってくれました。

 

何になりたいのか、どこを目指していけばいいのか分かりませんでした。

卒業した後も、ただ毎日ぼんやり時間だけが過ぎているようで、

何に対してもやる気が出ず、家にいるのも辛くなるばかりでした。

気づけば、毎日夕暮れまで海で過ごしていました。

 

陽が沈み、辺りが空と海の区別も分からなくなるなか、

家路を歩いていると、自分の影に気づいて足を止めました。

見上げると、月明かりに包まれていました。

まるで「あなたは一人じゃない」そう語りかけられているようでした。

その時に思い出したのは、教会で聞いた聖書の話でした。

「私はあなたを一人にしない。あなたとともにいる。」

神様は、繰り返しそう語って下さるお方だと言っていた話でした。

 

この自然界にあるもの全ては、神様が造られたもの。

その全てが、それぞれの存在を通して、

いつも共にいて下さる神様の存在を証しています。

 

美しく咲く花として造られた花が、神様のその思いに応え、

神様を近く感じて美しく誇らしげに咲くように。

綺麗な声で鳴く生き物として造られた小鳥が、神様のその思いに応え、

神様を近く感じて美しいメロディを奏でるように。

 

神様の子どもとして誕生した私たちもまた、

一人ひとりに与えられているものと神様を慕い求める思いを通して、

いつも神様を近く感じることが出来るようにして下さいました。

 

弱い私は、迷い立ち止まり、傷つく事もありました。

でも、そのような時にも一緒にいて下さるのが神様なら、

どのような状況にいたとしても、これ以上の安心はありません。

そうは思いませんか?

 

「見よ。わたしはあなたとともにあり、あなたがどこへ行っても、あなたを守り、…決してあなたを捨てない。」(創世記28章15節)