こころのサプリメント「感謝の祈り」

  • チャプレン室「こころのサプリメント」

こころのサプリメント「感謝の祈り」

チャプレン室 伊是名雅弥

「いつも喜びなさい。絶えず祈りなさい。すべての事に感謝しなさい。

(テサロニケ人への第一の手紙5章16~18節)

 

当法人の施設を利用されているAさんの居室に、上記のみことばが掛けられています。

娘さんの手づくりの壁掛けで、間もなく100歳になろうとするAさんがいつも心にとめている聖書のことばです。

「いつも喜ぶことは難しい。人間だから怒りもいろいろ出てくる。でも一日の終わり、夜休む時に振り返って、すべての事を感謝して祈っている」。

 

Aさんは感謝の祈りをささげる事で心が整えられ、平安が与えられる事を話してくれました。

高齢による心身の衰えはありますが、リハビリに励み、居室で讃美歌を歌い、家族や友人の健康と幸せを祈り、教会のために祈っておられるAさんの姿にうるわしい信仰を見ます。

 

私たちの日々のあわただしい生活の中で、喜び、祈り、感謝する事は簡単にできる事ではありません。問題や困難に遭遇する時、心は動揺します。人間関係の中で傷つき、心が折れそうになる時もあります。不平不満もいろいろ出てきます。

 

一人で重荷を背負うには限界があります。

そのような時、自分の内側だけを見ずに神に目を向けて、祈りの中ですべての重荷を神にゆだねる時に、私たちは重荷から解放されて、平安が与えられます。

なぜ、自分が苦しみを受けなければならないのかと自問する時も、神にゆだねて祈る時、すべてを最善に導かれる神のみこころが示されると思います。

 

フランスの画家ミレーの描いた「晩鐘」の絵がありますが、バルビゾンの馬鈴薯畑で農作業を終えた夫婦が、夕暮れに教会から聞こえる鐘の音に合わせて敬虔に祈りをささげる姿とAさんの一日の終わりに感謝の祈りをささげている姿がどこか重なります。

 

私たちも一日の終わりに振り返りの時をもち、そしてすべてを神にゆだねて、感謝の心で一日を終える時、心が整えられ、明日への希望につながっていきます。