こころのサプリメント

「きりすとをおもいたい」

チャプレン室 泉川 留美子

 
「きりすとを おもいたい
 いっぽんの木のようにおもいたい
 ながれのようにおもいたい」
 
認知症で入院してこられたH牧師という方がおられました。H牧師も患者様のお一人として毎回、病棟礼拝に参加していましたが、メッセージを聞いておられるのか分からないような状態だったようです。ある時、リハビリのスタッフが「H先生、祝祷をお願いします」と声をかけると、いつもは覇気のないH先生が「祝祷」という言葉を聞いたとたん、はだけていた病衣のすそを直し、姿勢を正して大きな声で祝祷をしてくださったというのです。普段の姿とあまりに変わったその様子にリハビリのスタッフは、「さすが牧師だ!」と感動して私に話してくれました。
 
あるクリスチャンの婦人の方は、重度の認知症のために多動で家族だけで世話ができなくなっての入院でした。私が車イスを押しながら讃美歌を歌っていると、「讃美歌が上手ですね。さあ、あなたのために祈ってあげましょう!」と突然、私のために長い祝福のお祈りをしてくださいました。またある時は、いつものように讃美歌を歌いながら散歩をしていると、「今の歌詞は間違いましたよ」と歌詞をただしてくれたのです。
会話は成立しなくても、讃美歌を通して霊的な交わりができたのです。
 
またある方は牧師の奥様でした。認知症で自分の家族さえわからない状態でした。一緒に讃美歌を歌い、「祈りましょう」とチャプレンがご主人のために祈ると大変喜ばれ、ご自分も言葉にならない言葉、つぶやきのようにぶつぶつ祈り、その後大きな声で「アーメン」と言うのでした。自分の「夫」であることを認識できなくても、「夫」のために祈っていることがわかり、自分も言葉にならない言葉でお祈りをする、その姿にいつも感動を覚えたものでした。
 
特定医療法人アガペ会の中には礼拝堂があり、毎週日曜日、礼拝が行われています。クリスチャンの患者様もそうでない患者様も何人も礼拝に参加してくださっています。礼拝に参加して喜んでくださる患者様方の姿を見ると本当に嬉しくなります。そして私自身も、高齢になっても、認知症になっても、どんな状態になったとしても、私を愛してくださる神様だけは忘れないようにしたい、病気になっても、神様を礼拝させていただきたいと強く思います。