こころのサプリメント

「先祖を敬う」

チャプレン室 伊是名 雅弥

 
「あなたの父と母を敬え」(出エジプト記20章12節)                        

沖縄の人々は親を敬い、先祖を大切にする心をもっています。
同じ家系に属する者が集まって催す門中行事も盛んで、清明祭はその一つの例と言えるでしょう。
考えてみますと、いのちというものは、自分ひとりで生まれて,ひとりで存在することはできません。
私たちのいのちは父方、母方のそれぞれの先祖からその血筋を代々受け継いでいます。
 
先祖を敬い、家系を重んじる点ではユダヤ民族も同じです。
旧約聖書をひもときますと、ユダヤ民族の膨大な量の系図が記述されているのに驚きます。
新約聖書「マタイによる福音書」の第1章にも、アブラハムからイエス・キリストに至るまでの系図が詳細に記述されています。
 
旧約時代、イスラエルでは、ちょうど沖縄の門中共同体と同じような氏族共同体があって、信仰と相互扶助の強い絆で結ばれていました。                                
たとえば、同じ氏族に属する同胞が貧しくなり、貧困のゆえに自分の所有する土地を売ったり、奴隷として身売りした場合、その同胞の近親者にその売られた土地や人を買い戻す義務が与えられていました。
 
また、一族の家系(名前)を残すことも大切にされました。
ある人が結婚して、子供を残さずに亡くなった場合には、その亡くなった男の兄弟に、未亡人となったその婦人を妻としてめとる義務が与えられたのです。
 
この結婚(レビラート婚)によって、男の子ができた場合、その男の子が途絶えようとするその家系を継いで、一族の名前が残るようにしたのです。 
どこか、沖縄の風習やしきたりと似ているところがあります。
          
また、アブラハムは妻のサラが亡くなった時、サラを鄭重に取り扱って自分が買い取ったマクペラの墓地に葬っていますし、そして、アブラハムが亡くなった時には、子供のイサクとイシュマエルがその墓地に父アブラハムを葬っています。                            
私達はユダヤ民族を通して、親や先祖を敬う心と共に、先祖を与えて下さった神に感謝することの大切さを教えられます。
私達も先祖を与えて下さった神に感謝すると共に、いつの日か神に属する門中として、信仰と親睦の絆が深められますようにお祈りしています。